今回は「ビタミンC研究会」に寄せられた質問に、
美容皮膚科医と、ビタミンマニア(企画や研究、品質に携わる各分野のプロ)が
全力でお答えします。
皮膚科・美容皮膚科
熊田朗子医師
富山大学医科薬科大学(現・富山大学)医学部卒業後、金沢大学医学部皮膚科学教室入局。大学病院、関連病院勤務を経て、東京都内で美容皮膚科の研鑽を積む。「なないろスキンクリニック」初代院長を務め、その後「あらきクリニック」で美容皮膚科、皮膚科を開設。日本皮膚科学学会認定皮膚科専門医、日本美容皮膚科学学会会員、日本臨床皮膚科医会会員。本人も日ごろからビタミンCを愛用している。
商品企画開発
都市
化粧品企画歴17年。
化粧品とビタミンCが大好き!
「成分上級スペシャリスト」。
美容薬学分野やダイエットアドバイザーなど保有する数々の資格を生かし、効果と安全性に優れた製品を求めて奮闘中。「美肌のエース!ビタミンCへの愛なら誰にも負けません!」。
日々のビタミンCケアと、定期的な角質ケアで美肌を目指しましょう。
技術開発
林田
化粧品の処方開発から始まり、製品評価、原料開発、薬事、品質管理まで幅広く携わってきました。化粧品業界にもう40年、どっぷりと浸かっています。
そんな私がおすすめする「ビタミンC」は飲んでよし、塗ってよしの天下無敵の美容成分。
美と健康は「一日にして成らず」。
まだ早いということはありません。もう手遅れでもありません。ビタミンCを取り入れたお手入れを今日から始めましょう。
商品企画開発
谷
ビタミンC研究会公式キャラ「学び乃ちゃん」のモデルになった人物。
趣味は、SNSから学術誌まで、最新の美容情報を学ぶこと。
自身も知人も巻き込んで「美」を極めていく、自他ともに認める美容マニアです。
美容の鉄則は、「日焼けは絶対NG」。
攻めのケアが大好きで、特にビタミンCは必ず取り入れています。
「最新の美容情報ならおまかせあれ!」
お客様からの疑問にズバリ回答!
やっぱり“ビタミンCはすごかった!”
「ビタミンC座談会」の2回目は皮膚科医の熊田先生をお迎えして、私たちビタミンマニアとともに、皆さんからの質問にお答えします。
熊田先生は日ごろの治療の中でビタミンCをどのように位置づけていらっしゃいますか?
ビタミンCには皮脂の過剰な分泌を抑え、色素沈着を防ぐ働きがあり、ニキビ抑制、美白効果があることが分かっています。
極度の敏感肌や湿疹などの炎症がある方以外、ほとんどの方に使っていただける間違いのない信頼できる成分だと考えています。
もちろん、私もビタミンC化粧品を使ったり、サプリメントを服用する形で日々摂っていますよ。
私も信頼感がある成分というところがビタミンCの魅力だといつも思っています。
私もこの会社に入る前からいろいろな化粧品を試してきました。ビタミンC化粧品は長く続けて使っていて大好きなコスメですね。
では、早速、最初の質問をご紹介しましょう。
Q1.ビタミンCをスキンケア製品で
外から取り⼊れるのと、サプリメントなどで
からだの内側から取り⼊れるのとでは、
どちらの⽅が効果がありますか?(40代・50代⼥性)
スキンケア製品で外から摂取した場合と内服薬やサプリメントで取り入れた場合の効果を比較したデータはないので、どちらが優位とは言えないのが現状です。
個人的には、どちらもそれぞれよいところがあるので、両方から取り入れていただくのがよいと考えています。
どちらかしかできないという場合は内服をおすすめします。シミのお悩みで受診された方には、必ずビタミンCの内服薬を処方しています。きちんと飲み続けられる方と、そうでない方でははっきりと効果に違いが出ます。
次の質問はそのシミに関する質問です。
Q2.シミに悩んでいます。
ビタミンC化粧品で消すことはできますか?
(40代⼥性)
実際、できてしまったシミをビタミンCだけで完全に消すのは難しいです。ただ、シミに対するレーザー治療や光治療後の副反応である色素沈着の予防や改善にビタミンCを内服するのは必須です。
シミはできる前に予防するのが大事なのですね。次はニキビで悩んでいる方から。
Q3.ビタミンCはニキビに効果がありますか?
中学⽣⾼校⽣でもビタミンC化粧品を
使ってもよいですか?(40代⼥性)
ビタミンCがニキビに効果があるか、これはイエスですね。
ビタミンCには過剰な皮脂を抑える効果があります。また、色素沈着やニキビ痕の赤みの改善にビタミンC化粧品が有効です。
ただ、18歳未満の中高生に化粧品が適しているかは刺激性のデータがないですし、化粧品を購入するのは経済的にも負担が大きいので病院で保険診療の範囲内で治療するのがよいと思います。
ニキビにビタミンC化粧品は有効です。ニキビや肌状態にあわせて、殺菌剤や抗炎症剤配合の化粧品などと組み合わせるとさらに有効です。
ピュアビタミンCやビタミンC誘導体における効果として、ニキビの根本原因である、過剰な皮脂分泌の抑制や、ニキビの鎮静、ニキビ痕である赤みや黒ずみの改善が期待されます。
Q4.たるみ、毛穴にビタミンC化粧品は
効果がありますか?
やはりエステに行った方が
よいでしょうか?(50代女性)
毛穴の悩みを持つ方は多いですね。ご自身でできるケアとしてはビタミンCやビタミンA(レチノール)が含まれた化粧品を使われたらよいと思います。
さらに気になる方は美容皮膚科を受診するのもおすすめです。毛穴ですと、ダーマペンやレーザー治療、たるみですとHIFU(ハイフ)や糸リフト、フェイスリフトなどの施術があります。いずれもビタミンCのサプリメントや高濃度ビタミンC点滴を併用するとより効果的です。
毛穴にビタミンCが有効だと言われる理由として、「過剰な皮脂」を抑えたり、「角栓の酸化を防ぐ」ことで、黒ずみを抑えます。また、「コラーゲン生成」にビタミンCが必要なこと等が挙げられますね。
ではビタミンC化粧品の選び方についての質問です。
Q5.ビタミンC化粧品の
選び⽅を教えてください。
⾼価格の⽅が効果がありますか?
低価格の製品は効かないのですか?(20代⼥性)
この質問にはまずメーカーとして説明させてください。
効果の有無は、「価格のみ」では一概に判断はできず、「質」が重要となります。例えば、どんな成分が入っていて、その量がどの程度配合されているかにより効果が異なってきます。
お選びになるときは、製品情報をよく確認し、例えば、パッケージに記載されている濃度表記(%表記)や、成分(特に最初の5つ程度に目指す成分が入っていること等)を確認するのも一つの手になります。
処方を担当している立場からもお話しましょう。
ビタミンC誘導体には微量で効くものもあれば高濃度で入れないと効かない誘導体もあり、一概には言えない面もあります。
また、ビタミンCは入っているだけでは効果がなく、肌に浸透させるための技術が必要です。しかし、浸透しやすいように成分をリポソーム化する等、難易度が高い技術を用いれば、当然価格は上がります。
そうですね。浸透する工夫がなされているかを確認するのも手ですね。熊田先生は患者さんに聞かれたらどうお答えしていますか?
どんな製品がよいか、私も患者さんからよく聞かれます。私は、信頼できるメーカーの製品を選ぶことと、説明書に例えばビタミンC誘導体の種類やそれぞれの特徴などがきちんと記載されているかどうかを見てくださいとお伝えしています。
価格については表現が難しいのですが、「安過ぎず、高すぎない製品を」とふわっとした表現で患者さんにお伝えしています(笑)。
ありがとうございます。
次に使い方についての質問が多かったのでご紹介します。
Q6.ビタミンC化粧品は朝使うと
⽇焼けしやすくなると聞きましたが
本当ですか?(50代⼥性)
よく誤解されますね。これはビタミンCが含まれるレモンやオレンジなどの柑橘類にはまたソラレンという紫外線を吸収しやすくする物質が含まれているのでそれと混同されて誤認されているのだと思います。
ビタミンCには紫外線を吸収する働きはないので、ビタミンC化粧品は朝晩問わず使っていただけたらと思います。
朝と晩と比べたらどちらがより効果的なのですか?
朝がよいと思います。
紫外線を浴びる前と浴びた後にビタミンCを塗布した場合で比較すると、浴びる前に塗布した方が紫外線による皮膚へのダメージが少なかったというデータがあります。
ですので、仕事やスポーツなどで戸外にいる時間が多いと分かっている場合は、特に朝にビタミンC化粧品を使うと日焼けによる炎症や色素沈着を軽減できます。
日中、日焼けして肌に赤味が出たり炎症を起こしてしまってから使うと化粧品がしみて痛みが出たりするので、日焼けする前にビタミンC化粧品を使っていただきたいですね。
そして激しく日焼けしてしまった場合は、まず数日間保湿を優先させて肌の炎症を鎮静化させてからビタミンC化粧品を使うことをおすすめします。
ビタミンC自体には日焼け止め効果はないので、併せて日焼け止めを使うことも重要ですね。
*:⽯神昭⼈(2021)、『健康や美容のマストアイテムービタミンCー』、95巻12号p533
ビタミンCと日焼け止めを併用するのは大切ですね。皆さんはSPF(紫外線防御効果)の数値を気にしてSPF30以上の製品を使う方が多いのですが、SPF値をしっかり出すためには「塗る量」が重要です。報告によると、実際に皆さんが塗っている量は、必要量の1/2以下というデータがあります。すると、せっかくSPF50の日焼け止めを使ってもSPF7ぐらいの効果しか出ません。
*日本香粧品学会誌 Vol. 44, No. 2, pp. 87–91 (2020)
皆さんには、ぜひ、ビタミンC化粧品を「朝」取り入れることをオススメするとともに、お使いの「日焼け止めの量」を見直し、普段より”多めの塗布”を意識して、メーカー推奨量を守って使っていただきたいですね。
Q7.ビタミンC化粧品に「⾼配合」「⾼濃度」と
書かれていることが多いと思います。
⾼濃度とはどれぐらいの量の配合を
⾔うのですか?(50代⼥性)
明確な基準があるわけではありませんので一概に表現するのは難しいですが、例えば、医薬部外品でビタミンCを有効成分として配合する場合、総量に対し通常1~3%程度で配合されるのが一般的です。医薬部外品を、効果がある程度、担保された商品として考えるならば、それを超える化粧品全般について、高配合、高濃度という表現をしてもよいかなと思います。
医薬部外品でビタミンCを有効成分としている場合、配合濃度は国の基準で決まっています。それに対して化粧品は製造販売元の責任の下、安全性を保障することで自由に成分を配合することができます。市販の化粧品に配合されているビタミンCの濃度は様々なので、商品説明などをよく見てから購入してください。
Q8.ビタミンC化粧品はどれぐらいの量を
どれぐらいの期間使うと効果が出ますか?
(30代・40代・50代⼥性)
使用量はメーカーが推奨する量を処方に合わせて使用することが基本ですね。
効果が現れる期間は肌のターンオーバー周期を考えると1か月は使っていただく必要があります。効果を実感するまでになるとしたら2か月は使い続けていただけたらと思います。
Q9.化粧⽔や乳液、美容液を使うとき、
⼿でつけるのとコットンにしみ込ませて使う⽅法、
またパックを使う⽅法もありますが
効果的なのはどの⽅法ですか?(30代⼥性)
皮膚科学の見地ではコットンを使うのは皮膚への摩擦刺激が強いためおすすめしていません。パックは皆さんどうしても決められた時間より長くパックしてしまう傾向にあります。すると逆に顔の水分を奪ってしまうことになるので月に1~2回ならよいのですがそれ以上頻繁に使わない方がよいと思います。
一番よいのは手でなじませることです。手のひらに化粧品を取ってできたら人肌になるぐらい温めてやさしく手で押さえるのが最も浸透しやすい方法です。
Q10.開栓後は早めに使ったほうが
よいのでしょうか?
何年も置いておいても⼤丈夫ですか?(50代⼥性)
何年も置いておくのは絶対にだめです!特にビタミンCは酸化しやすい成分ですから早めに使い切ることが大切です。
ほかの化粧品でも同じです。毎年、夏の始めに「昨年使っていた日焼け止めを塗ったら肌がかぶれた」と病院に駆け込んでくる患者さん、とても多いですよ。
使用期限の記載のない化粧品は、一般的に、開封後は、3か月~半年以内で、使い切っていただくことをおすすめします。但し、使用期限が書いてある製品はその期間内に使い切る必要があります。
また、品質の劣化を防ぐためにも、開封後に冷蔵庫保管を推奨するケースもあるため、パッケージに記載の保管方法を守っていただくくことをおすすめします。
むしろ数か月で使い切る量の製品を購入していただきたいですね。使っているうちに雑菌が入ることがあり肌トラブルの原因になりやすいからです。
Q11.ビタミンC洗顔料を使ったら
肌のつっぱりを感じました。
どうしてですか?(50代⼥性)
ビタミンCには皮脂を抑える効果があります。ですから肌がつっぱりがちな人は保湿効果が高い製品を使う、または保湿剤と合わせてお使いいただくのがよいと思います。
この問い合わせはよく受けますね。ビタミンCには過剰な皮脂を抑える効果があるため、乾燥させる印象を与えてしまう事もあるかと思います。
ビタミンCが肌の乾燥を引き起こすわけではないのでつっぱりを感じる場合、洗顔料の洗浄成分が強すぎる可能性も考えられます。
つっぱりを感じたら、洗浄力がマイルドな製品に切り替えていただくのも一つの手です。
座談会を終えて
質問を寄せていただいた皆さん、ありがとうございました。
あらためてビタミンCのチカラを感じました。
やはり美白、皮脂の抑制、毛穴対策など肌タイプを選ばずにマルチに効くというのがビタミンCですね。日ごろ、「何を使ったらよいか分からない」という方には「まず、ビタミンC化粧品を使ってみましょう。効果を感じられますよ。」とお話ししています。
私は普段、朝はビタミンC配合の化粧水、乳液、美容液を使っています。今回、熊田先生のお話をうかがってやはりビタミンCは最強の成分だと思いました。
私も友人、知人からアンチエイジングの相談を受けたときはビタミンCを必ずすすめています。「それに合わせて保湿効果があるものを使ってね」と伝えます。トラブルがあるときは炎症を抑える効果があるものをおすすめしています。
また、皆さんが、美容皮膚科の先生やビタミンマニアに聞いてみたい質問がありましたら随時お答えしてきたいと思います!